生涯現役エンジニアブログ

生涯現役を保つには何が必要か。齢70、自ら実践している筆者が失敗例を交え生涯現役エンジニアの実例を見せ、また新資格制度を提案します。

« 中国天津化学工場の爆発 | メイン | 悪性リンパ腫(血液の癌)から生還しました »

中国天津化学工場の爆発(2)

さる年8月13日投稿を繰り返します。
 
―― 本日(8/13)午前中テレビにおいて報道がありました。これを録画し画像を繰り返し繰り返して見た結果、事故の内容は以下の通りであると推定しました。繰り返します。

1. <爆発のシナリオ>
1) 爆発物質:農作物肥料用の「硝酸アンモニウム」
2) 着火原因:1回目は衝撃。2回目以降は「適度」の熱(80~120℃)
ここまでが8月13日の繰り返しです。

2. その後、保管化学物質の中に以下のものがあったと報道されました。( )内は、日本の消防法の危険物指定「類別」です。
1) 硝酸カリ(第1類:酸化性固体)
2) 硝酸アンモニア(第1類:酸化性固体)
3) カルシウムカーバイド(第3類:禁水性物質)
4) 金属ナトリウム(第3類:自然発火性物質)

3. 報道された化合物の中で「単体」で爆発する可能性があり、かつ、爆発地点に大きな「クレーター」を残す可能性のある化学物質は、「硝酸アンモニア」だけです。以下に事例を挙げます。

1) ドイツBASF社(1921年)・・・・・ルートヴィヒスハーフェン工場(当時はオッパウ工場)において大爆発が発生し、死亡確認約500名、行方不明約200名。工場と近くの1000戸の家屋のうち約70%が破壊され、約2000人が負傷。爆発物質は、硝酸アンモニアと硫酸アンモニアの1:2混合物、4500トン。倉庫の中に山積みしていた硝酸アンモニアと硫酸アンモニウムの混合物が湿気により固化したので、それを崩す作業をしていました。崩す手段として大砲で砲撃していました。それまでに何万回と砲撃しても爆発しませんでした。併しある日突然爆発しました。

2) 1947年、米国テキサス州テキサスシティ・・・・・埠頭で硝酸アンモニアを積んだ、フランス船籍の貨物船グランドキャンプ号が大爆発しました。死者約600人、負傷者約5000人。船内で火災が発生。消防隊による消火活動が始まりました。 大勢の野次馬が現場近くへ集まりました。 この時、大爆発。爆風と飛び散った鉄板等により野次馬多数が死亡しました。爆風と炎は市街地に及びました。近くに停泊していた貨物船ハイ・フライヤー号も爆発炎上。上空を飛行していた小型飛行機が影も形も居なくなりました。

3) 北朝鮮平安北道(2004年4月)・・・・・平義線の龍川駅構内において、肥料用硝酸アンモニウムを積んだ列車と、LPG/石油を積んだ列車が衝突して大爆発し、跡にクレーターが残りました。衝突によって電柱が倒れ、スパークが発生してLPG/石油タンクが炎上。熱石油が硝酸アンモニウムと混ざった結果。

4. 硝酸アンモニウムの常識・・・・・硝酸アンモニウムは、「少量」であれば燃やしても火は着きません。雷管で「起爆」しても爆発しません。しかし大量に存在するとBASFの例のように爆発します。周囲に「可燃物」のある閉鎖空間に置かれて火災に遭遇すればさらに爆発し易くなります。現在、灯油あるいは軽油を硝酸アンモニウムに混合してダイナマイト代わりに使用しています。これをANFO硝安といいます。私が勤務していた三菱化成(現三菱化学)黒崎事業所でもこの用途の硝酸アンモニウムを製造していました。

5. 代用ダイナマイト・・・・・現在、硝酸アンモニウムは、ダイナマイト代わりに使用されています。これを「ANFO硝安」といいます。私が勤務していた三菱化成でも「ANFO硝安」という商品名で硝酸アンモニウムを製造・販売していました。

6. 硝酸アンモニウムの悪用・・・・・1900年台の後半、米国で「いたずら少年」が、トラックに硝酸アンモニウムを積んで、あるビルに横付。これにニトロメタンを注ぎ、導火線を設置して逃げました。着火した硝酸アンモニウムは大爆発。5階建てビルの半分が倒壊し、10数人がお亡くなりになりました。なお、ニトロメタンは、レーサー用のガソリンブースターとしてガソリンスタンドで販売していたそうです。

7. 「肥料が大爆発する」。このことを忘れている人が多いようです。一般の人が知らないことは止むを得ません。しかしこれを取り扱う人が忘れていることを私は危惧しています。

8. <今回の天津大爆発の想定シナリオ(殆ど前回想定に同じです)>
1) 夜間に倉庫内で火災が発生した。
2) 燃えた液体可燃物が硝酸アンモニウムに大量に降りかかった。
3) これにより第一回目の大爆発が発生した。
4) 第一回目爆発によって大半の硝酸アンモニウムは飛び散った。
5) しかし飛び散らなかった硝酸アンモニウムの山が残り、これが第一回目と同様なシナリオで大爆発した。これが第二回目。
6) 爆発により、青酸ソーダが飛び散った。しかしこれは猛毒ではあるが、爆発はしない。青酸ソーダと石油系有機化合物が高温で接触して化学反応が起り、様々な化合物が少量ながら発生した。その化合物の中に、神経性ガスが含まれていた。

7) カルシウムカーバイドに水を掛けたことによって、アセチレンガスが発生した。これによって火災が拡大した。何度か爆発的火炎の拡大が見られたのはこれによる。

8) 金属ナトリウムは、金属製容器に入れて石油系高沸点油の中に浸して保管されているので最初の大爆発の原因ではない。むしろ、大爆発によって飛び散った金属ナトリウムが水に触れて小爆発し、かつ、空気に触れて燃焼している可能性が高い。
以上

投稿者: 田邉康雄 日時: 2015年08月20日 14:55 |

« 前の記事 | 次の記事 »

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)




youtue

京大OB・OGガイドブック

初回メール相談無料

エントリー検索

 

カテゴリー

アーカイブ

労働安全衛生マネジメントシステム

田辺コンサルタント著書の書籍紹介

商店街の街並み設計

田辺コンサルタント・グループ
代表取締役 田邉康雄
〒140-0014
東京都品川区大井6-20-6
TEL 03-3776-2495
FAX 03-5742-7695
お問合せフォーム

このブログを購読