生涯現役エンジニアブログ

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日本触媒 アクリル酸 爆発火災 原因(5)

新たな状況が分かってきました。日本触媒姫路事業所におけるアクリル酸貯蔵タンク爆発です。姫路市消防局の人の話を産経新聞(10月3日朝刊)が伝えていました。

―― 爆発の10分前。
タンクの下から黄色い液体が大量に漏れ、かつ、タンクの上部から吹き上がっていたと。

―― この状態を説明します。
アクリル酸のラジカル重合反応は、発熱を伴います。温度が高いほど、重合反応速度は大きくなります。一般的には、10℃上がる毎に二倍となります。この割合で速度が大きくなると、10℃上昇すると1024倍の速度になります。これは暴走反応の領域です。
管理温度の60℃を超えると速度が速くなり、重合禁止剤のハイドロキノン類が消費されます。すると新たな、かつ、高温で有効な重合防止剤を投入しないかぎり、暴走反応は止まりません。冷却装置も役にはたちません。なぜならば、重合によりアクリル酸の粘土が大きくなっているので、熱の伝達速度が小さくなっています。一方発熱量は大きくなっています。ですから後はタンクが破裂することを待つばかりです。

―― 消防士が到着した時。
タンク内部のアクリル酸が熱で蒸発し、圧力が高くなってタンク上部のベントから大量に液体状のアクリル酸が吹き出し始めていた。これが防油堤の中に滞留していたので、消防士の目には、「タンクの下から黄色い液体が大量に漏れ」、と勘違いしたのでしょう。実際、この時点ではまだタンクそのものは、破壊していません。

―― その10分後に爆発
さらに温度が上昇し、タンクが破裂した。タンクは、周辺タンクと同じだとすると、『コーンルーフ』式タンクです。耐圧は、0.2~0.3気圧しかありません。もっとも脆弱部である、屋根の溶接部が引き裂かれて重合が進んだアクリル酸が上空に吹き上がります。その際、すでに上空にはアクリル酸の爆鳴気の直径数十メートルの塊が存在しています。その塊に引火して大爆発します。これをファイアーボールといいます。これによって噴出したアクリル酸を、360度火炎放射器のように吹き飛ばします。このアクリル酸には、重合が進んだ樹脂状のアクリル酸ポリマーが含まれています。これによって多くの人が被災しました。服に付着したら、粘っこいのではがれません。悲惨な状況です。

以上が爆発時の現場の状況です。爆発火災防止を専門とする弊社の推測です。

投稿者: 田邉康雄 日時: 2012年10月03日 09:01 |

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