生涯現役エンジニアブログ

生涯現役を保つには何が必要か。齢70、自ら実践している筆者が失敗例を交え生涯現役エンジニアの実例を見せ、また新資格制度を提案します。

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日本触媒 アクリル酸 爆発火災 原因(3)

兵庫県警は、日本触媒姫路製造所を『業務上過失死傷の容疑で家宅捜索したと報じられました。また、姫路市は消防法によって製造所全体に対して『緊急使用停止命令』を出したとも報じられました。

家宅捜査においては、①安全管理体制に問題がなかったか、②詳しい爆発の原因を調べるとのことです。以上は、10/1付産経新聞でした。

―― 私は、事故当日の報道映像を録画しております。それを改めて再生して視聴しました。すると以下のことが分かりました。


<時系列的状況変化>
1) 60kℓアクリル酸タンクは、通常60℃以下で温度管理している。
2) しかし温度上昇があった。
3) 最初は自分達で冷却努力をした。
4) が、手に負えないので消防へ連絡した。
5) 消防隊が到着した際、このタンクから『白煙』が上っていた。
6) 消防隊は白煙を目標にして放水を始めた。
7) その際爆発が発生した。

<当時の現場状況>
8) 爆発の30分程前に構内一斉『緊急避難』放送があった。
9) 作業員500名が敷地から離脱した。
10) 敷地内にクレーンなどの重機が駐機している。
11) 機械のメンテナンスにあたっていた男性がいた。
12) 消防車のタイヤが燃えている。 
13) 遠く離れた場所でも轟音と爆風を感じた。

<以上の状況から判明すること>
14) 当日は、大掛かりな修理作業(定期修理等)の最中だった。
15) 修理中ではあったが、60kℓアクリル酸タンクは充満していた。
16) 減圧蒸留に空気の漏れこみが通常より多く、重合量がいつもより多かった。
17) 冷却追いつかなくて管理温度60℃を超えて上昇した。
18) 添加している重合禁止剤(ハイドロキノン系)の有効温度上限(おそらく80~100℃)を超えた。また、重合によって消費しつくされた。
19) もっと高温で機能する重合禁止剤(硫黄など)は、準備していかなった。
20) 温度がアクリル酸の沸点141℃を超えた。
21) アクリル酸が沸騰し始め、タンクの安全弁が吹いて外気へ勢いよく放出された。
22) 消防隊が到着した際は、このアクリル酸の蒸気が、『煙』のように見えた。
23) だから消防隊は、その『煙』に向かって放水を始めた。
24) その際、爆発が発生した。
25) これは、アクリル酸蒸気(気体)がタンク上空に直径数十メートルの『爆鳴気』の雲のような塊を形成し、これに内部で発生する静電気の放電スパークによって着火し、大爆発したもの。
26) ちなみに、この大爆発のことを『ファイアーボール』という。

 ―― 消防署への連絡が遅れたから災害が大きくなったというものではありません。アクリル酸タンク温度が管理限界を超えた時点では、どんなに消防隊が努力しても、その温度上昇を止めることはできません。福島原発に対してヘリコプターや、消防車で放水していた姿を思いだしてください。アクリル酸の重合反応をストップさせる新たな量と質の重合禁止剤が必要なのです。

以上、日本触媒姫路事業所における爆発火災事故に至るまでの概略『シナリオ』を推定して記述しました。化学工場の爆発火災防止を専門とする弊社ならではの推察です。このシナリオが間違っていることを祈ります。

投稿者: 田邉康雄 日時: 2012年10月01日 11:59 |

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