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リスクマネジメント ― スイス氷河特急 脱線 推定原因

 現在ISO31000リスクマネジメント国際規格に関する記事を書いています、一昨日(2010年7月23日)にスイス氷河特急の脱線事故が報道されたので、リスクマネジメントの専門家である私田邉康雄の見解を述べます。

「せり上がり」等の脱線がまことしやかに論議されているが、私が観測した結果は異なります。鉄道工学等の難しい理論を展開する以前の問題であると思います。

観測源は産経新聞(2010年7月25日)朝刊の27ページの写真とイラストです。

読み取れた事故現場の状況は以下の通りである。
1) 軌道巾は狭軌(1067mm)
2) 車両は軽量化した新車
3) 車両の窓は開放式
4) 最後部車両は日本人団体客で占有されていた。
5) 最後部車両が最初に脱線した。
6) 脱線現場は左回りの緩いカーブ。
7) 進行方向に向かって左側がせり上がりの斜面。
8) 緩衝器つき手動連結器
9) 進行方向に向かって右側は景色のよい渓谷。
10) 現場は強風の強い場所(医療用ヘリがなかなか近づけない)。
11)

 以上の状況をベースにして、私が推定する脱線原因
1) 最後尾(6両目)車両を占有した日本人団体客が、美しい渓谷を観賞すべく多くの人が車両の右側車窓に殺到した。
2) 軽量化された新型車両であるので、重心が大きく右側に移動した。
3) その重心は、狭軌の軌道巾のぎりぎりにまで近づいた。
4) その状態で左曲がりのカーブに差し掛かった。遠心力が掛かったが、その状態ではまだ車両重心は軌道巾を辛うじて逸脱していなかった。
5) そこへ左の斜面の上から強風が吹きつけて、力が右方へ傾く力が掛かった。
6) この時点で最後部(6両目)車両が右方へ横転した。
7) 6両目に引きずられて5両目も横転した。
8) 4両目は横転を免れたものの、脱線した。
9) 3両目と4両目の連結器が外れたので1両目、2両目、3両目は電気機関車に引きずられて20メートルばかり進行方向へ移動した。

 整理すると、脱線が先ではなくて横転が先であり、その結果として脱線が起ったものJR西日本尼崎事故と同じ「横転」である。なお狭軌鉄道における横転事故は、山陰線餘部鉄橋事故など枚挙の暇がない。いずれも強風が直接原因であった。

 間接原因として以下のことが挙げられます。
1) 狭軌鉄道は重心が軌道巾から外れ易いという基本的な認識が鉄道運行会社に不十分であること。
2) 日本人団面体観光客は、付和雷同しやすく右側車窓の外が美しいという場面においては、全員が右車窓に殺到する。なお欧米人にはそのように不和雷同する場面はすくない。

 以上がリスクマネジメントの専門家、田邉康雄の見解です。

 多くの大事故は、考えていなかった偶然の事態が偶々3つ重なることに発生するという原則があります。今回の3つは、1)乗客の右側殺到、2)左曲がりのカーブ、3)左から強風でした。
 このことを立証することは困難ですが、今後このような事故が発生しないようにと対策を考える際の参考にしていただければ幸いです。

投稿者: 田邉康雄 日時: 2010年07月25日 11:22 |

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