森田化学工業(大阪)の三フッ化ホウ素タンク爆発事故に関する私、労働安全コンサルタント田邉康雄の感想を続けます。前欄につづいて爆鳴気を形成するに足る水素が発生したかどうかを検証します。
―― 1モルの気体の容積は御存知の通り、22.4ℓです。ですから、爆鳴気を形成するに必要な1kℓの水素は、約50モルです。前欄に記載した反応式から、水素3モルを発生するには、鉄が2グラム原子腐食されればよいということが分かります。
すると、約50モルの水素が発生するには、鉄が30~40グラム原子腐食されれば、それで十分であるという結論に到達します。
―― では30~40グラム原子の鉄は何グラムでしょうか。私は鉄の原子量を正確には記憶していません。しかし鉄、コバルト、ニッケルは周期律表のカリウムと同じ列にあったと記憶します。ですから、原子番号は25~30です。すると、原子量は50~60となります。
ですから30~40グラム原子の鉄は、約1,500~2,000グラムとなります。鉄の比重は約8g/cm3ですから、200~300cm3すなわち、200~300mℓです。3.5インチフロッピーディスク約10枚分の鉄が腐食されるだけで、タンク内部に爆鳴気を形成するに足る水素が発生するということが分かります。タンクの大きさから見てこの状況は十分に有り得ます。
―― 検証してみましょう。
1メートル四方(1㎡)の鉄板の0.1㎜(0.01㎝)の厚みだけ腐食したとします。
100㎝×100㎝×0.01㎝=100㎝3=100mℓ
即ち、2~3平方メートル(㎡)の鉄板があればよいのです。これは十分にあり得ます。爆発を起こしたタンクの直径が2メートルだとすると、水が溜まった底板だけで3.14×2×2≒3平方メートルありますから。
―― 以上は概算ですが、本質を見誤ることはないでしょう。これが化学部門の労働安全コンサルタントのものの考え方です。
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