労働安全衛生マネジメントシステム規格OHSAS18001が制定された契機となった、英国巨大化学企業ICI(アイシーアイ)ナイロン工場事故の話をつづけています。
―― フレキシブル管を設置する計画図面は残っておらず、かろうじて残っていたものは、現場の床にチョークで描かれていた図面だけだったそうです。それだけではなく、設置されたフレキシブル管は、規格外のものだったそうです。
事故はこのような杜撰(ずさん)な一時しのぎの工事の数ヶ月後に発生したそうです。規格はずれの管を使用したのであれば、設置直後に事故が発生しても不思議ではないでしょうに、なぜ数ヶ月後だったのでしょうか?
―― ここからは私の想像です。シクロヘキサンの空気酸化反応器においては反応器下部から空気を吹き込みます。これを気泡塔と呼びます。
気泡塔は常に振動しています。この振動がフレキシブルチューブに伝播し、数ヶ月の間に金属疲労を起こして高圧に耐え切れず破壊したものと、私は推定します。
―― 問題は「一時しのぎの仮配管が本配管である」と誤認されたことです。しかい毎日同じものをみている担当者にとって、これが恒久的な配管であると映ることは、無理からぬことです。
繰り返し繰り返して主張していますが、毎日同じ状態を見ていると「当たり前」と思ってしまいます。これは人間の脳の「可塑性」に由来します。これが外部の目を必要とする所以です。
なお、拙著「生涯現役エンジニア」
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200ページ目「合成繊維原料D」新製法(社長賞)において紹介した内容はナイロン工場の例です。とくにシクロヘキサン酸化工程を経験しました。







