ISO14001規格の中で使用されている訳語「特定」は、「同定」の方が得策であることを前回述べました。これを説明します。
―― 私は京都大学工学部燃料化学科4年生の時、有機合成実験という科目を履修しました。私には、ベンゼンに硝酸を作用させてニトロベンゼンを合成する課題が与えられました。
合成した結果得た粉末が(目的とする)ニトロベンゼンであるかどうかを確認する操作がありました。
操作に当たっては、硝子管をブンゼンバーナーで炙り、引っぱって細管をつくりました。この細管の中に合成で得た粉末を入れて油の中に設置しました。
この油を徐々に加熱して温度を測定しながら細管の中の粉末の状態を観察しました。そして粉末が熔融して液体になる瞬間の温度を記録しました。一方、化学便覧を紐解いてニトロベンゼンの融解点を調査しました。
記録した溶解温度と調査した熔解温度を見比べて両者が一致していれば、得た粉末は目出度くニトロベンゼンです。
「同じものである」
と、結論付けることを「identification」と言いました。有機合成化学実験には、英語の教科書が使用されていましたから、これを英語のまま使用していました。指導教官は、この訳語を「同定」として学生に教えていました。
―― こんな訳語の例をあげながら、弊社のISO内部監査(とくにISO14001内部監査)員養成のための社内研修においては審査員に対する主張(反論)のやり方を御一緒に考えていきます。







